【令和6年・2024年】申請条件は?期限は?子育てエコホーム支援事業についてわかりやすく解説
知っ得豆知識
国土交通省によって、住宅の取得やリフォームの種類に対して補助金が交付される子育てエコホーム支援事業。
補助金額は最大で100万円交付され、住宅取得を考えている人にとってはぜひ知っておいてもらいたい事業となります。
注文住宅の新築や新築分譲住宅の購入に対する補助金を交付される世帯は決まっていますが、リフォームに関しては世帯が関係なく、行う工事の種類や数によって補助金の交付額が異なります。
そこで本記事では、子育てエコホーム支援事業の内容や申請条件、期限などを解説していきます。
子育てエコホーム支援事業とは
子育てエコホーム支援事業は、物価の高騰などの影響を受けやすい、子育て世帯や若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、一般の世帯に対して住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、省エネ投資の下支えを行う補助金支援事業のことです。
主な対象は子育て世帯や若者夫婦世帯ですが、この支援事業は一般の世帯にも対象としている部分があるため、家のリフォームを考えている子育て世帯や若者夫婦世帯以外の世帯の方にも知っておいてもらいたい事業です。
この支援事業を通して、金銭的な問題から住宅の取得が難しい世帯に補助金を交付し、少子化対策に繋げるという狙いと共に、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという、カーボンニュートラルの実現を目指しています。
子育てエコホーム支援事業に申請するメリット
子育て世帯や若者の強い味方となる
この支援事業の主な対象は、子育て世帯や若者夫婦世帯です。
新築の高い省エネ性能を有する住宅の取得に対しても、支援は厚いですが、全世帯を対象としているリフォームに関しても、一般世帯よりも子育て世帯に対する補助額の方が高い額が期待できます。
ぜひとも対象となる世帯で紹介している「子育て世帯」と「若者夫婦世帯」の方は、申請を検討してみてください。
エネルギー費用の軽減とCO2排出量の削減
この支援事業の最大の目的は、カーボンニュートラルの達成へ向けた、若者世帯の高い省エネ住宅の取得を促すことや、全世帯への既存住宅の省エネ改修を促すことです。
カーボンニュートラルとは、「温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること」とされています。
※引用:「カーボンニュートラルとは|脱炭素ポータル」
「排出量と吸収量を均衡させること」というのは、我々が生きる上で排出する二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量と、植林や森林管理を通して、温室効果ガスの吸収量を同等量にしようということを指します。
人が生きる上で温室効果ガスの排出はゼロにはなりません。カーボンニュートラルを達成するためには、森林管理などを通して吸収量を増加させるとともに、一人ひとりの行動や意識で、排出量を削減させることが必要となります。
この事業は、若者世帯の高い省エネ性能を有する住宅の取得と、全世帯の住宅の省エネ改修を通して、カーボンニュートラルの達成を目指しています。
子育てエコホーム支援事業の対象となる工事と対象住宅
対象となる家庭は?
▼対象世帯
(1)注文住宅の新築または新築分譲住宅の購入をする場合 ・子育て世帯(補助金申請時において、2005年4月2日以降に生まれた子供がいる世帯)※1 ・若者夫婦世帯(補助金申請時において、夫婦であり、かつ夫婦のいずれかが1983年4月2日以降生まれである世帯)※2 (2)リフォームの場合 ・全世帯が対象となります(世帯によって補助金上限額が異なります) 全世帯とは、法人・管理組合も含みます。 |
※2:ただし、2024年3月末までに工事を着工する場合においては、夫婦いずれかが1982年4月2日以降生まれである世帯となります。
▼対象住宅
(1)注文住宅の新築または新築分譲住宅の購入をする場合 ・長期優良住宅を取得する場合※1 ・ZEH住宅を取得する場合※2 補助金の申請のためには、上記2点のいずれかに該当する必要があります。 また、申請した子育て世帯または若者世帯が居住することを目的に、所有者となることが条件となります。 (2)リフォームの場合 2023年11月2日から、予算上限に達するまでにリフォーム工事に着工するもので、以下の8つに該当するリフォーム工事を対象とします。ただし①から③のいずれかに該当するリフォーム工事を含んでいることが必須です。
②外壁、屋根・天井又は床の断熱改修 ③エコ住宅設備の設置 ④子育て対応改修 ⑤防災性向上のための開口部改修 ⑥バリアフリー改修 ⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置 ⑧リフォーム瑕疵保険の加入 |
基準は、劣化対策、耐震性、省エネルギー性、可変性などの10項目の基準に対する措置を講じ、所管行政庁へ申請した後に認められた住宅が対象となります。
※2:ZEH住宅とは、使うエネルギーの量を減らす措置や、太陽光発電などでエネルギーを創る措置を施し、消費するエネルギーよりも生み出すエネルギーの量が多い住宅のことを指します。
省エネやバリアフリー改修は補助対象?
省エネやバリアフリーに関しては、(2)のリフォーム工事が対象となります。
主なバリアフリー改修としては
・手すりの設置
・段差の解消
・廊下の幅の拡張
などが挙げられます。
ただ、バリアフリー改修をする際には、住宅の省エネ改修の工事を行った場合のみ、バリアフリー改修の補助金対象となります。
つまり、バリアフリー改修のみを行った場合は、本支援事業の対象工事とはならず、補助金は交付されません。
具体的な補助金内容や金額
世帯別補助金の金額
(1)注文住宅の新築または新築分譲住宅の購入をする場合 ・長期優良住宅を取得する場合※1:一戸100万円 ・ZEH住宅を取得する場合※2:一戸80万円 補助金の申請のためには、上記2点のいずれかに該当する必要があります。 また、申請した子育て世帯または若者世帯が居住することを目的に、所有者となることが条件となります。 (2)リフォームの場合 工事を申請する世帯の属性や工事内容によってその金額は異なります。 ①子育て世帯または若者夫婦世帯 既存住宅を購入を伴うリフォーム工事の場合:最大60万円/一戸 長期優良住宅の認定(増築・改修)受ける場合:最大45万円/一戸 上記以外のリフォームの場合:最大30万円/一戸 ②その他の世帯 長期優良住宅の認定(増築・改修)受ける場合:最大30万円/一戸 上記以外のリフォームの場合:最大20万円/一戸 |
※2:ZEH住宅とは、使うエネルギーの量を減らす措置や、太陽光発電などでエネルギーを創る措置を施し、消費するエネルギーよりも生み出すエネルギーの量が多い住宅のことを指します。
リフォームをした場合の補助額詳細
補助金の交付対象となるリフォームは以下の8つです。
▼必須工事
①開口部(窓・ドア)の断熱改修 内窓の設置や外窓の交換、ドアの交換などが交付対象となります。それぞれにZEH基準や省エネ基準が設けられており、窓やドアの大きさによって補助金額が異なります。 ②外壁、屋根・天井又は床の断熱改修 外壁や屋根・天井、床における断熱改修が交付対象となります。改修後の省エネレベルによって金額が異なり、面積ではなく一戸当たりの給付となります。部分断熱の場合の給付額は、一戸あたりの給付額の半額となります。 ③エコ住宅設備の設置 高断熱浴槽や高効率給湯器、節水型トイレの設置が交付対象となります。節水トイレのみ1台ごとに給付金が設定されており、他は一戸当たりの金額が設定されています。 |
▼任意工事
④子育て対応改修 子育ての負担が軽減されることを目的に、ビルトイン食器洗機や浴室乾燥機の設置が交付対象となります。設置を行った設備に応じて一戸当たり1台まで交付されます。 ⑤防災性向上のための開口部改修 防犯を目的とした外窓やガラスの交換が交付対象となります。交換をした窓やドアの大きさによって交付額が異なります。 ⑥バリアフリー改修 手すりの設置や段差の解消、廊下幅の拡張などが交付対象となります。設置した箇所数ではなく、工事を行った種類に対しての交付となります。 ⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置 設置したエアコンの冷房機能に応じて、台数に応じた補助金が交付されます。 ⑧リフォーム瑕疵保険の加入 対象となるリフォーム瑕疵保険への加入又は大規模修繕工事瑕疵保険への加入に対して、1契約7000円が対象となります。 |
子育てエコホーム支援事業への申請ガイド
申請手続きのステップ
まず注意して欲しいのは、申請を行うのが住宅取得者及びリフォームの依頼主ではなく、建築・販売、工事を請け負った業者が行います。業者が申請をするためには事業者登録を済ませる必要があります。そのため、事業者登録をしてくれて、申請を行ってくれる業者を探しましょう。
そして次に建築・販売、工事を請け負ってくれる業者と相談をし、購入段階において必須となる条件の確認や、注文住宅の場合は、どのような項目が必須になるかを確認し、要望に盛り込みましょう。リフォームの場合は、申請のために必須となる工事項目があるので注意が必要です。
工事が完了したら事業者に交付申請を出してもらい、受け取った事務局が審査の後に交付を決定し、補助金を事業者に給付します。そしてその後、事業者から住宅を取得する方に全額を還元し、申請が終了となります。
申請の期限はいつからいつまで?
申請期間は、各ステップにおいて異なります。
まず、建築・販売、工事を依頼した業者が事業者登録を済ませる期間は、令和6年1月中旬から遅くとも令和6年12月31日までです。
契約日は問われませんが、基礎工事より後の工程への着工するのが令和5年11月2日以降であること。交付申請の予約が令和6年3月下旬から遅くても令和6年12月31日で、実際の交付申請期間も令和6年3月下旬から遅くても令和6年12月31日が期間とされています。
注文住宅の新築の場合のみ完了報告が必要で、下記のそれぞれの期間までに、住宅の引き渡しと入居を行った後に、完了報告が必要です。
戸建住宅(独立した1棟の住宅のこと):令和7年7月31日まで 共同住宅等で階数が 10 以下 :令和8年4月30日まで 共同住宅等で階数が 11 以上 :令和9年2月28日まで |
他の補助金と併用ができるかも
子育てエコホーム支援事業は原則として、補助対象が重複する、国の他の補助制度とは併用ができないとされています。しかし、地方公共団体の補助制度においては、国費が当てられているものを除いて、併用が可能となります。
(1)注文住宅の新築または新築分譲住宅の購入をする場合 東日本大震災で被災された方の住宅取得や、被災した住宅の補修に係る消費税の負担増加に対応するための措置として設けられた「住まいの復興給付金」※1や、木で造られた堀などの外構施設を施行する場合、条件に応じて補助金が交付される「外構部の木質化対策支援事業」は併用が可能です。 (2)リフォームの場合 工事の契約が別である場合のみ、長期優良住宅化リフォーム推進事業や次世代省エネ建材支援事業、既存住宅における断熱リフォーム支援事業などの支援事業との併用が可能です。 |
一度施工を請け負ってもらう業者と相談をしてみてください。
子育てエコホーム支援事業で注意すること
注文住宅の新築または新築分譲住宅の購入をする場合
購入する住宅が以下の両方に該当する区域にある場合、補助額は原則として半額になります。
・市街化調整区域 市街化調整区域とは、その地域や土地において、市街化を抑制する地域のことを指します。
人が住むために住宅を建築することや、商業施設などを建築することが原則として認められていない区域になります。
ただ、その地域の地方自治体に申請することで、建築の許可がもらえる場合もあります。 ・土砂災害警戒区域又は浸水想定区域(洪水浸水想定区域又は高潮浸水想定区域における浸水想定高さ3m以上の区域に限る) 土砂災害警戒区域とは、通称イエローゾーンとも呼ばれ、土砂災害が発生した場合に、その地域に住んでいる人の命や身体に危害が生ずるおそれがあると認められる区域で、土砂災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域のこと指します。 浸水想定区域とは、水害による被害を軽減するために、想定できる最大規模の降雨によって該当する川が反乱した場合に、浸水が予想される区域のことを指します。 |
どちらも国が出している指定地域によって確認することが出来ます。
リフォームの場合
子育て世帯または若者夫婦世帯が、既存住宅の購入を伴うリフォームを行う場合は、既存住宅の売買契約額が税込で100万円以上であることと、2023年11月2日以降に売買契約を締結したもの、売買契約締結から3カ月以内にリフォーム請負契約を締結することが条件となります。
1申請あたり、5万円を下回る場合申請はできません。
2023年11月2日から、予算上限に達するまでにリフォーム工事に着工するもので、以下の8つに該当するリフォーム工事であり、①から③のいずれかに該当するリフォーム工事を含んでいることが必須です。
①開口部(窓・ドア)の断熱改修
②外壁、屋根・天井又は床の断熱改修
③エコ住宅設備の設置
④子育て対応改修
⑤防災性向上のための開口部改修
⑥バリアフリー改修
⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
⑧リフォーム瑕疵保険の加入
①から③のいずれかを含まない場合、補助金の申請を行っても受理されないため、注意してください。
おわりに
今回紹介した子育てエコホーム支援事業は、物価変動の影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦世帯による住宅の取得を支援して省エネ投資の下支えを行うと共に、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの達成を目的とした支援事業です。
子育てエコホーム支援事業と類似しているこどもエコすまい支援事業は、2022年11月8日に始まり2023年9月28日に予算上限額に到達し、受付が終了となりました。
子育てエコホーム支援事業の予算額は、こどもエコすまい支援事業よりも約300億円増えた2,100憶円ですが、2023年11月2日に閣議決定された本事業も前回と同様の期間で終了する可能性が高いです。
まずは一度検討してみてはどうでしょうか。